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童話


裸の王様


 ある国に、服の大好きなダウン症の王様がいました。
 ある日、お城に二人の仕立したて屋がやってきて言いました。
「私どもは、馬鹿ばかの目には見えない不思議ふしぎな服を作ることができます」
「ほう、それは興味深い。早速、作ってみてくれんか」
 王様は、興味津々きょうみしんしんで、男たちに服を注文しました。

 それから、役人が、仕立て中の服を見に、訪れました。しかし、服が見えないのです。困った役人は、馬鹿だと思われたくなく、立派な服だと王様に報告しました。
 他の役人も、みんな立派な服だと言いました。

 そして服が完成しました。
「さあ、王様、服が完成しました」
 馬鹿には見えない服を前にして、王様は言い放ちました。
「見えない」
 役人たちは、びっくり。もっとびっくりしたのは、仕立て屋たちです。
「王様、見えないということは・・・」
「馬鹿だと言いたいのかい?」
「いえ・・・」
「これからパレードだ。誰かこの馬鹿には見えない服を着て参加できるものは居るか?」
 誰も、手を挙げません。
「じゃ、私が着よう」
「しかし、王様・・・」
 諸君しょくんには見えるんだろう。
「はい、見えますが、パレードはちょっと・・・」
「さあ、パレードだ。出発!」
 王様は、裸でパレードにいどみました。

裸の王様
 市中にも馬鹿には見えない服のうわさが広まっていましたので、誰も裸とは言えませんでした。  そんな中、一人の子供が言いました。 「王様は裸だ!」  王様は、その子供に言いました。 「良い勇気だ。ワシには子供がいない。大きくなったらこの国を任せたい。よろしいか?」  子供の母親は、びっくりして言いました。 「申し訳ございません!馬鹿な子でして・・・」 「いいや、見えないはずだ。それを言うのは勇気のいること。その勇気が国を正しい方向に進めるんだ」  結局、王様は、パレードを続け、将来の王となる子供を探し出すことに成功した。 「馬鹿とハサミは使いようだよ」




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  1. http://maedakabujuku.hatenablog.com/entry/2017/12/09/235338

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