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童話


桃太郎


 昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
 おじいさんは山へ芝刈しばかりに、おばあさんは川へ洗濯せんたくに行きました。

 川をどんぶらこどんぶらこと、大きな桃が流れてきました。
 おばあさんは、桃を家に持ち帰り、切りました。

 すると、中から男の赤ちゃんが飛び出てきました。
 子供ができなかったおじいさんとおばあさんは大喜び。
「神様の贈り物ですね」
「しかし、この赤ん坊はあまり泣かないな」

 おばあさんは、桃太郎をお医者さんにせに行きました。
「この子は、ダウン症ですね」
「どうなってしまうんですか?」
「心臓に病気がある可能性がありますが、診たところ元気そうなので、大丈夫でしょう」

 おばあさんは、その晩、おじいさんに報告。
「そうか、ダウン症か」
「ええ」
「手はかかるかもしれんが、立派に育てよう」
「ええ」
 おじいさんとおばあさんは、桃太郎を溺愛できあいし、桃太郎は立派な青年に成長しました。

 その頃、村に鬼が来て、食べ物や宝物を奪っていくことがありました。
「僕、鬼退治に行く」
「そんな危険なことは、許しませんよ」
「恩返しさせてよ」
「桃太郎……(泣)」

「いいか、桃太郎。命が一番大事じゃ。無理はしないで逃げて来てもいいんだからな」
 おじいさんが、念を押しました。
「今まで育ててくれてありがとう」
「これを持っていきなさい」
 おじいさんは、桃太郎にきび団子を渡しました。
「何かの役に立つじゃろう」
 そして、桃太郎は、涙ながらに手を振るおじいさんとおばあさんに見送られ、鬼退治に向かいました。

桃太郎
 途中、犬、猿、キジを仲間にして、いざ、鬼の元へ。 「やい、鬼。退治しに来たぞ」 「なんだお前は?」 「桃から生まれた桃太郎だ! 覚悟しろ」  桃太郎らは、鬼を退治しようにも、とても敵いません。  そこへ、鬼のお母さんが登場しました。 「また弱い者いじめかい! いい加減におし!」 「ごめんよ、母ちゃん」  鬼は、お母さんに逆らえない。 「あなた、ダウン症の桃太郎君でしょ」  鬼のお母さんが、桃太郎に聞きました。 「はい」 「実はね、私の娘もダウン症なのよ」 「そうですか……」 「もう死んじゃったけどね」 「このきび団子を娘さんにお供えします」 「優しいのね。桃太郎君に、お土産をあげなさい。そして、二度と村を襲わないと約束しなさい」 「分かったよ、母ちゃん」  鬼は、お母さんには逆らえず、言われるままに、お土産を渡し、降参しました。 「鬼といっても悪い鬼ばかりじゃないのよ。それだけは覚えておいて」 「はい、村のみんなに報告します」 「それじゃ、本当にごめんね。あ、そうだ。桃あげるね」 「桃、大好きです」 「まあ、良かった。桃から生まれたんだもんね。貴方の本当のお母さんとお父さんも苦労人よ」 「お父さんとお母さんのこと知ってるんですか?」 「貴方と同じ。別の鬼の退治に行って亡くなったわ。最期に、貴方を桃に隠して、逃がしたの」 「知らなかった……(泣)」 「良い鬼と悪い鬼がいるから気をつけなさい。うちのはドラ息子だけど、聞き分けはいいのよ」 「分かります」 「さ、それじゃ、お行きなさい。気をつけて」 「色々本当にありがとうございます」  鬼とお母さんは桃太郎たちを見送り、いつまでも手を振っていた。 「あんなに大きくなって」 「桃太郎君のお父さんとお母さんをやっつけたのは、父ちゃんだよね」 「そうよ……。娘が亡くなって自暴自棄じぼうじきになったの。桃太郎君には、悪いことをしちゃったわ。貴方、桃太郎君を幸せにできる?」 「用心棒ようじんぼうくらいならできる」 「心からお願いするわ。あの子を幸せにしてあげて」 「分かったよ」  以来、桃太郎たちは、鬼に守られ、何不自由のない生活を送った。 「お父さんとお母さんの最期の顔、思い出したよ」




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