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童話


ウサギとカメ


 ある日、ウサギは、ダウン症のカメに言いました。
「君は足が遅いな。何しても遅いんだろう」
「そんなことないさ!」
「それじゃ、競争きょうそうしてみようよ」
 ウサギとカメは、山登りで競争することになりました。

 多くの動物たちが見守る中、競争が始まりました。
「よーい、スタート!」
 ウサギは、圧倒的あっとうてきに速いので、あっという間に見えなくなりました。カメは必死に走りますが、全く追いつきません。
「ウサギ君、速いや。やっぱり僕、何をしても遅いのかな」
 それでも、あきらめずに必死に走ります。

 すると、道の途中の大きな木の根元で、昼寝をしているウサギを見つけました。
「ウサギ君、起きて!競争中だよ!」
「ん? カメ君か。やっと来たか。抜かせばよかったのに」
「フェアじゃない。僕はいつでも全力勝負だよ」
「それじゃ、先に行っちゃうぞ」
「うん、追いつく」
 ウサギは、また一気に駆け出し、カメを置いてきぼりにしました。

ウサギとカメ
 それから、日も暮れそうな時間になってようやくカメは山頂にやってきました。  山頂には、数多あまたの動物たちが待っていました。 「カメ君、急いで!まだ判んないよ」  見ると、ウサギはゴールテープの手前で、ぐっすり眠っているではありませんか。カメは、急いで、ゴールに向かいます。  そうして、まさに、カメがウサギを追い抜くという時です。 「ウサギ君、起きて!抜かしちゃうよ!」 「んん、やっと来たか。抜かしちゃえばいいのに」 「寝てるウサギ君に勝っても意味がない」 「ふっ、カメ君らしいな。一緒にゴールしようか」 「それ、いいね!」 「じゃ、せーの!」 「ゴール!」  結局、ウサギとカメは同時にゴールテープを切りました。  見守っていた動物たちは、拍手喝采はくしゅかっさい。 「ウサギ君らしくないぞー!」  そんな野次やじが飛び交う中、ウサギは言いました。 「カメ君には敵わないよ。勝つ、っていう欲がないんだもん」 「欲って何?」 「他の人より幸せになりたいっていう気持ち」 「僕は人の幸せが好きだな」 「カメ君らしいや」 「みんなの喜ぶ顔が好き」  見守っていた動物たちの中には、涙を流す動物もいました。 「ウサギ君、嘘寝うそねしてるんだもん」




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  1. http://hukumusume.com/douwa/pc/aesop/01/07.htm

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