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第一章 第五話
アナと義助は、日本のニュースだけでなく、中国語のニュース記事なども翻訳して、SNSの情報をくまなく探した。
2020年2月7日のニュース記事:
新型コロナウイルスによる肺炎が広がる中国で、いち早く警鐘を鳴らした湖北省武漢市の医師、李文亮氏(33)が7日、新型肺炎で死去した。李氏はネット上で「デマを流した」としていったんは武漢市公安当局に訓戒処分を受けた。
李氏が入院していた武漢市の病院は微博(ウェイボ)で午前2時58分(日本時間午前3時58分)に李氏が死去したと伝えた。人民日報(電子版)は「李医師に哀悼をささげる」と伝えた。
習氏は2月3日、政治局常務委員会を主宰し、新型肺炎を巡る「感染予防抑制の人民戦争を開始せよ」と号令をかけた。最高指導部は「宣伝教育と世論誘導に取り組む」との方針で一致した。人民日報を中心とする中国メディアに「感動的な事績を生き生きと語り、感染封じ込めの物語をきちんと伝えよ」と指示を出した。
李氏を含む武漢の医師らは、2019年12月に原因不明の肺炎を確認し、SNSで「(2002〜03年に流行した)重症急性呼吸器症候群(SARS)が発生した」などとやりとりしていた。
武漢市公安当局は今年1月1日、「デマを流した」として李氏ら8人を摘発したと発表した。李氏はその後、新型肺炎の感染が確定して入院していた。日経新聞(抜粋)
意外にも、日本のニュースサイトの中に、李武志の兄の記事があった。
「何、このニュース……李武志君のお兄さん……?」
アナが、絶句した。
「確か、こんな名前だと言っていた……」
「他にも探そう。本当に大変なことが起きている」
アナ、カズ、義助が、SNSで新型コロナウイルスの情報を集めた。
2020年2月19日の掲載:
クルーズ船ダイアモンドプリンセス号(以下クルーズ船)は、2020年1月20日、横浜港を出発し、鹿児島、香港、ベトナム、台湾、および沖縄に立ち寄り、2月3日に横浜港に帰港した。この航行中の1月25日に香港で下船した乗客が、1月23日から咳をみとめ、1月30日に発熱し、2月1日に新型コロナウイルス陽性であることが確認された。そのため、日本政府は2月3日横浜港に入港したクルーズ船に対し、その乗員乗客の下船を許可しなかった。2月3日からの2日間、全乗員乗客の健康診断が検疫官により行われ、症状のある人、およびその濃厚接触者から新型コロナウイルスの検査実施のために咽頭ぬぐい液が採取された。2月5日に検査結果よりCOVID-19陽性者が確認されたことから、クルーズ船に対して同日午前7時より14日間の検疫が開始された。この時点でクルーズ船には、乗客2,666人、乗員1,045人、合計3,711人が乗船していた。国立感染症研究所ホームページ
「これって、あの新型コロナウイルスのことじゃない?」
アナが、驚きを隠せなかった。遠い異国の話だと思っていた。
「こんなのもあったよ」
カズが、新たな情報を見つけた。
2020年1月16日の発表:
1月14日、神奈川県内の医療機関から管轄の保健所に対して、中華人民共和国湖北省武漢市の滞在歴がある肺炎の患者が報告されました。この方については、1月6日にご本人が医療機関を受診した際に、武漢市の滞在歴の申告があり、その後、原因が明らかでない肺炎等の患者に係る、国立感染症研究所での検査制度(疑似症サーベイランス)に基づき報告されたものです。
当該患者の検体を国立感染症研究所(村山庁舎)で検査したところ、昨日(1月15日)20時45分頃に新型コロナウイルス陽性の結果が得られました。新型コロナウイルスに関連した肺炎の患者の発生が国内で確認されたのは初めてです。厚生労働省ホームページ
「日本にも、感染が広がっているんだ……?」
アナが、心配していた。
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