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第二章 第十話


横浜スタジアム

 2020年10月30日のニュース記事:  新型コロナウイルス対策としてイベントの人数制限が続くなか、横浜スタジアム(横浜市)のプロ野球の試合で30日、制限緩和の実証実験が始まった。感染防止と観客動員を両立する道を探るため、「収容人数の50%以内」の制限を超す観客を入れ、対策を試すとともに課題を洗い出す。実験の舞台となるのは、30日~11月1日に横浜スタジアムで行われるDeNA対阪神の3連戦。政府の了承の下、販売可能な約3万2千人分の席に対し、観客の上限を30日は80%、31日は90%、11月1日は100%と段階的に引き上げる。スタジアム入り口には体温を確認するサーモグラフィーが設置され、スタッフが厚生労働省の接触確認アプリ「COCOA(ココア)」のインストールを呼びかけた。8割を超す観客の来場を促すため、今回の3連戦のチケットは通常料金から最大35%値引きされた。30日の観客は1万6594人で今シーズン最多を更新したが、定員の51%にとどまった。2021年夏には五輪も控えており、政府などは実証実験などを通して、感染リスクを抑えながら大規模イベントを本格的に再開する方策を模索していく。

 三人が、いつものように放課後、自主練の合間に休憩をしていた。 「観客、8割! 超三密じゃん。何でこんなことするの!」アナが、ニュース記事を見て、驚いた。 「そうだね、どういうことだろう……?」義助が、納得いかない様子だった。
Gファン

 2020年10月31日のニュース記事:  コロナ禍を戦い抜いた――。読売巨人軍は30日、2年連続でセ・リーグを制した。感染拡大で開幕が約3か月遅れ、無観客で始まった異例のシーズン。苦しい日々を乗り越えた選手とファンは格別の喜びを分かち合った。試合終了後、感染防止のためマスクと手袋をした球団職員らが原辰徳監督(62)を胴上げすると、チームメートと輪になって万歳した。入場者数の制限は、9月19日から「収容人数の50%以内」に緩和された。観客は好機を迎えると、手拍子で励ます「新しい観戦様式」で選手らを後押しした。この日の東京ドームの観客は約1万8000人。マスク姿の巨人ファンは、優勝が決まると、無言で万歳をしたり、選手名が入ったタオルを掲げたりして喜びを表した。今季約50試合を観戦した千葉市中央区の会社員(49)は「本音を言えば、応援歌を歌ったり、大声で声援を送ったりしたかった。でも、今年は全力の拍手が選手の力になると信じて球場に足を運んだ。きょうは優勝して本当にうれしい」と興奮していた。

 翌日の朝、似たようなニュースが報じられた。三人は、支援学校の教室で、このニュースに見入った。 「また……どうして、こんなことを……?」アナが、不審に思っていた。 「日本プロ野球機構が、東京オリパラの可能性を見つけてくれようとしてくれていたんだーー」  義助が、答えを出した。義助によれば、東京オリパラを何とか成功させる為に、みんなが、覚悟を持って、観戦の予行をしてくれたと言うのだ。 「こんなに多くの観客のみんなも、東京オリパラの為に集まってくれたの……?」 「ああ、そうだと思う」 「……凄いわ」アナが、度肝を抜かれた。  その様子は、まるで奇跡を目の当たりにするようだった。みんなが、東京オリパラの実現の為に、尽力してくれた。それが、何より嬉しかった。
おうち料理

 2020年10月31日のニュース記事:  さばけないし、臭いが気になるし、面倒くさい。そんな魚料理を楽しむ人が増えている。コロナ禍で自宅で過ごす時間が増えた。家族に振る舞おうと、鮮魚店や包丁店を訪れる男性客の姿も目立つ。さばき方を解説する動画も人気だ。自らの手で命に触れ、海や漁師の仕事に思いをはせた一皿は、ちょっぴり不格好でも、格別の味だ。

 三人が、支援学校の授業の合間に、教室で、ニュース記事を見ていた。 「こうして、ネットをどんどん活用すべきだわ。日本は、開催国として、もっとやれるはず」アナが、提案した。 「何ができるだろう……」義助が、考え込んだ。 「12月3日の国際障害者デー辺りに、何かしたいね」 「五輪SNSで、呼びかけてみようか」 「そうね」  アナ、カズ、義助が、五輪SNSで意見を募集した。


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