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最終話


アメリカ10万人

 2020年11月1日のニュース記事:  新型コロナウイルスの感染が再び拡大しつつあるアメリカでは、新たに報告された1日の感染者数がおよそ10万人と、これまでで最も多くなりました。特に中西部や南部で深刻な状況が続いていて、東部ニューヨーク州は州外からの旅行者に原則、ウイルス検査を義務づけるなど感染対策を強化しています。こうした中、ニューヨーク州のクオモ知事は、31日、ほかの州からの旅行者について、原則、ウイルス検査を到着前の3日以内と到着から4日後以降の合わせて2回受けてもらい、どちらも陰性の場合に限って州内の移動を認めるという新たな旅行規制を発表しました。アメリカでは今月から来月にかけて感謝祭やクリスマスなど人の移動が盛んになる季節を迎えるため、州をまたぐ移動で感染が広がることへの警戒が強まっています。

 三人が、支援学校の教室で顔を合わせた。 「米国は、酷いことになっている」義助が、米国の様子を憂いだ。 「うん。心配だね……」アナも、気落ちしていた。  三人は、五輪SNSでも、その窮状が、うかがい知っていた。
 一方、この頃、アナの家の手作りマスクの売れ行きが、好調だった。 「凄いわ、アナ。大助かり」アナの母が、手放しで喜んだ。  アナの一点モノの障害児アート作品は、飛ぶように売れて、アナが、稼ぎ頭になった。アナの才能が開花したのだ。 「いやぁ〜、それほどでもないさ」アナが、得意げ。 「ハッハハハハ」 「お父さんも、マスク作ろうかな?」アナの父も、嬉しそうにおどけていた。 「お父さんは、しっかり働いてください。安月給でも」アナが、ぴしゃりと言った。 「ハッハハハハ」 「良かった……」アナの母の涙。 「何泣いているの〜」アナが、アナの母の姿を見て笑った。 「ハッハハハハ」 「本当に良かった」アナの母が、もう一度言った。 「ああ……ありがとうな、アナ。素晴らしい天使だ」アナの父も、アナに感謝した。 「何、改まっているんだい。ハッハハハハ」  アナは、アナの家族を救っていることに薄々気付いていた。だから、笑った。  数日後、アナとアナの母が、商店街に買い物へ行った。その道中、アナの作った刺繍のマスクを使っている婦人を見かけた。 「そのマスク、うちの子が作ったんですよ!」アナの母が、嬉しそうに婦人に声をかけた。 「まあ、貴方が作ったの! 素敵な刺繍だわ」 「ありがとうございます」アナが、照れ臭そうに笑った。 「良いものは、必ず日の目をみるから。ひた向きにね」 「はい」  一方、総合病院では、コロナに感染していた市議会議員が、退院することになった。病院の出口で、カズの父が、見送った。カズも、市議会議員に呼ばれていた。 「お世話になりました」市議会議員が、カズの父にお礼を述べた。 「いえいえ、お大事に」カズの父が、穏やかに声をかけた。  その時、市議会議員の後援者らが、病棟の陰から、大勢出て来た。  地域住民も、ぞろぞろと集まった。  そして、 「パチパチパチパチ」  と、人々が、カズの父に向けて、大きな拍手をした。  市議会議員の鶴の一声で催されたサプライズだった。 「お父さん、良かった……」  カズは、思わず感涙した。  カズの父も、カズの頭を撫でながら、男泣き。
国内感染者2000人超

 2020年11月18日のニュース記事:  国内の新型コロナウイルスの感染確認の発表は18日、これまでに2189人となり、1日の発表としては初めて2000人を超えて過去最多となりました。菅総理大臣は、感染拡大を防ぐため全力で取り組むよう指示したほか、田村大臣に対し高齢者施設など感染リスクがあるところでの検査の徹底などについて都道府県知事と連携して対応するよう指示しました。

 三人は、自主練の前に、支援学校の教室で、準備をしていた。 「日本の感染者も、また増えてきたね」アナが、心配そうにしていた。 「第三波が来るのか……?」カズが、恐れおののいた。
「あとは、東京オリパラが開催されれば……」アナが、緊張した面持ちで呟いた。 「東京オリパラは開いてもらうんじゃない。自分たちの力で開くんだ」義助が、力を込めた。  五輪SNS:〈みんなの力が必要なんだ。協力して欲しい〉  五輪SNS:〈もちろん!〉  五輪SNSを通じて、ある計画が進行していたーー。





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引用文献


  1. NHKウェブ
  2. YAHOO!ニュース
  3. 日本経済新聞
  4. 首相官邸
  5. 東京新聞

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