アナ、カズ、義助が、放課後の支援学級の教室で、ニュース記事を見ながら、談笑していた。 「どんな技術で、東京オリパラを実現するか、少し楽しみでもあるね」カズが、少し嬉しそうに語った。 「マラソンの先導車から、エタノールを噴射しながら走るとかね」義助が、笑った。 「まさか!」アナが、突っ込みを入れた。 「ま、それは冗談としても、コロナだって、弱点はあるさ。それが、高温ならば、少し厚着をして走ってもらうとか。そのくらいの対策があっても良いんじゃないか。走り幅跳びの選手とかも、長袖着用とかね」 「そうね。世界中のみんなで考えた対策で、成功させたいね」 「その逆境の中で、世界新記録なんかが出れば、それ以上のドラマはないよ」義助が、闘志を燃やした。 「そうでなくとも、記憶には残るね」 「ああ、唯一無二の大会になる」 「見てみたいな、東京オリパラ」アナが、目を輝かせた。2020年10月1日のニュース記事: 英国で今週末開催されるロンドンマラソンも、出場ランナーをエリートクラスに限定し、無観客で開催されることになっています。そしてそれだけではなく、ランナーは互いにむやみに接近しないよう、英Tharsusが開発したソーシャルディスタンス追跡ウェアラブル「Bump」を装着することになっています。
三人が、朝、支援学校の教室で、顔を合わせた。 「トランプ大統領も、コロナに感染だって!」アナが、ニュース記事を見て、驚いて思わず叫んだ。 「米国は、酷いことになっているらしいね」義助も、心配していた。 三人は、五輪SNSで、欧米の感染状況をある程度は把握していた。2020年10月3日のニュース記事: アメリカのトランプ大統領は2日未明、新型コロナウイルスの検査で陽性と判明したと明らかにしました。 これを受けてホワイトハウスは2日夕方、軽い症状が出ているものの元気だとする一方、「主治医のすすめもあり念のための措置として今後数日間病院から執務を行う」と発表しました。そして、2日午後6時すぎ、トランプ大統領はスーツを着てマスクを着用しホワイトハウスの庭で待ち構えた報道陣の前に姿を現し、歩いて専用ヘリコプター「マリーン・ワン」に乗り込んで、首都ワシントン近郊の軍の病院「ウォルター・リード」に移りました。またトランプ大統領のツイッターには午後6時半ごろビデオメッセージが投稿され、このなかでトランプ大統領は「素晴らしい支援をしてくれたみなさんに感謝したい。私はこれから病院に行く。体調はいいと思うが問題がないか確認してもらう。ファースト・レディーも順調だ。心から感謝する。決して忘れない」と述べました。
アナと義助が、自主練を終えて、スマホのニュース記事を読みながら、話し込んでいた。 「ネットを何かもっと利用できないかしら」アナが、言い出した。 「五輪SNSだけじゃなく?」義助が、聞き返した。 「最悪、東京オリパラのネット開催」 「ネット開催?」 「各国の選手や観客が、東京に集まるからいけないのよ。各国の選手が、現地で、競技をするの。それをネットでつないで、対決する」 「マラソンなんかだったら、できないことはないね」義助も、アナの提案に一目置いた。 「テコンドーとかでも、VRとかARとかの技術でこう……なんとかならないかしら」 「もしも、早めに開催中止が決まるなら、そういう代替大会もあって良いかも知れないね」 「可能な限り、選手の努力を無駄にさせたくないから。義助も泳子も、ルドルフも、あと李くんのリベンジも兼ねて」アナが、力を込めた。 「そうだね。日の目を見せてあげたいね」 「それって、立派な東京オリパラじゃない?」アナが、得意げに笑った。 「東京発のね」義助も、満更でもない様子だった。2020年10月7日のニュース記事: 新型コロナウイルスの影響で、延期や中止になった公演のチラシなどを紹介する企画展が、インターネット上の特設サイトで7日から始まりました。演劇博物館は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で公演が相次いで延期や中止になった事態を、資料を集めて後世に伝えようと、チラシやポスター、台本などの収集を6月から本格的に進め、これまでにおよそ450点が集まったということです。