三人が、自主練を終えて、ニュース記事をチェックしていた。 「確かに面白いもんね〜、鬼滅の刃」アナが、手放しで喜んだ。 久々の朗報だった。 「このコロナ禍でも、これだけの人が、劇場に行くんだから、社会に貢献しているね」義助も、嬉しそうに言った。 「そうだね、コロナ禍の起爆剤になっている。この勢いを借りて、東京オリパラも、大成功させたいね」 「東京オリパラは、世界の結束だからね。世界が一つになったら、鬼滅の刃を超えるはず」 「多くの感動を見たいわ。頑張ってよ、義助」アナが、義助を鼓舞した。 「プレッシャーかけんなよ。でも……開催されるなら、全ての力を出し切りたい。そして、世界中の人々の鎮魂にする」 「東京オリパラは、コロナの鎮魂になるんだわ」 この日、市議会議員が、新型コロナウイルスに感染して、総合病院に入院した。 「よろしくお願いします」市議会議員が、カズの父に懇願した。この市議会議員は、カズの父の担当になった。 「最善を尽くしますよ」カズの父が、答えた。カズの父は、市議会議員でも、他の患者と同様に対処した。 その日の夜遅く、カズの父が、帰宅した。 「お父さん、無理しないでね」カズが、起きていて、カズの父を出迎えた。 「カズ、時には、無理をしてでもしなくてはならないことがある。その時の為に、努力しなさい。100%の力を出しても、足りない時だ。120%出すためには、努力しかない。あとは、神様が何とかしてくれる。医師になりたいんだろう?」 「……うん」 「努力しなさい。それしかない」 「はい」 「今は、誰もが、120%の力を発揮する時だよ」カズの父が、諭すように伝えた。 「分かった……」カズは、なぜか涙が溢れて止まらなくなった。2020年10月18日のニュース記事: アニメ映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」が公開初日の16日だけで興行収入(興収)10億円を突破したことが分かった。全国403館での公開スタートで、昨年、興行収入140億円超えの大ヒットを記録した「天気の子」の359館を上回っている。