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第三章 最終話


スカイツリー日本国旗
 夜になって、ライブ配信は、再び、日本に戻って来た。  舞台は、泳子の病室。  今まさに、泳子が、意識を戻して、 「ありがとう」  と、一言だけ告げた。  五輪SNSのメッセージ:〈この『ありがとう』を聞く為に二十四時間頑張ったんだ〉  五輪SNSのメッセージ:〈世界で一番美しい『ありがとう』だった〉  五輪SNSのメッセージ:〈この為に、手術を早く終了させたのね!〉  静止衛星は、泳子の総合病院の屋上を映し出した。  ライブ配信を見ていた人々が、目を凝らした。  そこには、「ありがとう」と、文字が浮かび上がっていた。  病院関係者と患者の人文字だった。  みんなで、世界中の人々にお礼を伝えた。
 静止衛星が、東京の夜景を映した。はじめは、誰もが、何でもない映像だと思っていた。  だが、違った。  ライブ配信を見ていた人々が、それに気付いた。  五輪SNSのメッセージ:〈これ、エンブレムじゃないか……?〉  東京では、街の灯りで、東京オリパラの市松模様のエンブレムを描いていたのだ。四角い窓の明かりが、市松模様にマッチしていた。  五輪SNSのメッセージ:〈やるな、東京〉  東京都民の協力なくして、成り立たない企画だった。 「東京オリパラを成功させたい」  それが、東京都民の、日本人の心からの願いだった。  ライブ配信が始まって、二十四時間後。  東京の日の出を迎えた。  エンブレムの灯りが、メッセージに変わった。  メッセージ:〈ありがとう。東京オリパラで会おう!〉  メッセージが、ゆっくり日の光の中に消えて行った。  泳子は、病室のベッドの中で、ライブ配信のエンディングを見ていた。  カズの父が、回診に行った。 「東京オリパラに間に合いますか?」  泳子が、不安そうに聞いた。 「君ならできる。大丈夫。アナや義助、それにカズだって、見守ってくれているんだから」  カズの父が、太鼓判を押した。 「良かった……」  ライブ配信が、終わった。




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画像の出典

  1. https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200626/k10012485661000.html
  2. http://tokyoskytree.blog.jp/archives/64734188.html
  3. https://www.youtube.com/watch?v=OEFfrdnvWZs

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