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第四章 第一話


ここまでのあらすじ

ダウン症のアナ、発達障害のカズ、義足の義助は、支援学校の高等部二年生で、ダウン症の泳子は、中学部二年生です。義助は、走り幅跳びで東京パラリンピックへの出場を決めました。2020年12月3日の国際障害者デーでは、世界が一つになりましたが、泳子が、心臓発作で入院しました。世界に、コロナの第3波の影が、忍び寄って来ました。

第3波のグラフ

 2020年12月15日:  新型コロナウイルスの感染拡大が続く中「Go Toトラベル」について政府は、今月28日から全国一斉に一時停止することを決めました。感染拡大に歯止めがかからないことから地域を限定した対応から方針を転換した形です。

NHKウェブ
 放課後、アナ、カズ、義助が、支援学校の教室で、スマホのニュース記事を見ていた。 「ついに、GoToトラベルも、停止か」アナが、心配そうに言った。 「1日の感染者数が、3,000人に迫っているからね」カズが、応えた。 「これじゃ、東京オリパラの危機だな」 「なんとしても、開催してもらいたいが……」 「海外は、もっと酷いことになっている。今日1日で、全世界50万人が、感染している」義助が、スマホ画面を眺めていた。 「米国が酷くて、あとは、欧州か……ルドルフ、大丈夫かな?」アナが、心配した。 「五輪SNSを見る限りでは、大丈夫らしいけどね。前に、ルドルフに、『危なそうだったら、うちの家に来て、一緒に練習しようぜ』って、言ったんだ。そしたら、あいつ、『レームさんの練習を見たいから。最悪感染しても良い』だって。『それほどか?』って、聞いたら、『それほどだ』って」 「全幅の信頼を寄せているのね」 「ああ。最高のお手本が、目の前にいるんだからな」

 2020年12月24日:  東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は24日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で来夏に延期された大会の国内スポンサー全68社と、延期に伴い契約を1年延長することで合意したと発表した。契約期限は2021年12月末までで、追加協賛金の合計は220億円を上回るという。記者会見した組織委の森喜朗会長は「東京大会は五輪の歴史上、最大のパートナー企業から支援をいただいてきた。まさにオールジャパンと言えるパートナー企業からの協力をいただいた」と述べた。

毎日新聞
 2020年12月24日、三人は、支援学校の授業が終わって、教室で帰り支度をしていた。 「良かった。スポンサーは、契約延長してくれた」義助が、喜んだ。 「スポンサーって、そんなに大事なものなの?」アナが、不思議そうに聞いた。 「そりゃそうだよ。支えてくれるスポンサーがあってのオリパラだからね」 「ふ〜ん。そうなんだ〜」アナは、呑気に構えていたが、スポンサーにとっては、まさに英断だった。 「カズ、今日も、泳子ちゃんのお見舞いに行くのか?」義助が、カズに尋ねた。 「そうしようと思っている」 「じゃ、一緒に行こうか?」アナが、提案した。 「そうだな」義助も、乗り気になった。 「じゃ、そうしようか」カズも、快諾した。  三人が、泳子の入院している病院にお見舞いに行った。 「来たよ〜」アナが、泳子に元気よく声をかけた。 「あら、皆さん、お揃いで」 「今日は、義助にも、自主練を休んでもらったよ」 「良かったんですか?」 「たまには、休みもないとね」義助が、微笑んだ。 「泳子も、早く良くなって、東京パラ、出なきゃ」アナが、鼓舞した。 「頑張りまっす」 「僕は、ちょっと無理そうだ……」カズが、弱音を吐いた。 「頑張れよ」アナが、カズをど突いた。 「そうですよ。私も、早く良くなって、東京パラ目指しますから」泳子が、カズを勇気付けた。 「みんなで、東京パラリンピックに出よう」義助が、改めて、誓いの言葉を述べた。 「そうですね」泳子が、賛同した。 「そうだね……」カズも、頷いた。 「私は、ちょっと……」今度は、アナが、弱音を吐いた。 「まあ、アナはな……」義助が、諦め半分で答えた。 「コラ〜」 「ハッハハハハ」


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