放課後、アナとカズが、ニュースを見ていた。 「この話からすると、開催するのは、もう決定しているのね? しかも、外国人観光客の受け入れを4月終わりにって、日本人観光客の受け入れは、OKなのかしら?」アナ。 「そう言うことになるのかな?」カズ。 「う〜ん。煮え切らないニュースだね」 「これじゃ、義助も泳子も、困惑しちゃうだろうね」 「そうだね。決まるまで、落ち着かないね」 「決まっても、もしかしたらってこともあるかも知れないし」 「条件は、みんな同じだよ」義助が、教室に入って来た。 「おお、義助。大変な状況ね」アナ。 「練習あるのみ」 その時、カズの元に、一通のメールが届いた。 「あ、泳子からだ」カズが、メールの本文を読んだ。 メール:〈この度、退院することになりました!〉 「泳子、退院だって!」カズが、嬉しそうにアナと義助に伝えた。 「本当に!」アナが、大きな声で喜びを表現した。 「良かったじゃん」義助も、喜びの表情。 「でも、なんで、カズのとこにだけメールが行くわけ?」アナが、突っ込みを入れた。 「愛だな」義助が、不敵に笑った。 「そ、そんなんじゃないよ……」カズが、顔を赤くした。 数日後、泳子の退院の日を迎えた。 「手伝いに来たよ〜」 カズが、代表して、泳子の病室に手伝いに行った。 「あ、ありがとうございます」泳子が、丁寧にお礼を言った。 「この足で、支援学校のプールに行かないか?」カズが、提案した。 「どうして?」 「見せたいものがある」カズが、自信ありげに言い切った。 「じゃ」 カズが、泳子を連れて、支援学校のプールに行った。 「退院おめでとう!」 アナと義助が、泳子を迎えた。 「おかげさまで、退院できました」泳子が、アナと義助にも、お礼を述べた。 そこへ、カズが、水着に着替えて、 「お待たせ〜」 と、登場した。 「今から、カズが、泳ぐから、見てやってよ」アナが、泳子に声をかけた。 「もちろんです」 そうして、カズが、位置に着いて、プールに飛び込んで、泳ぎ始めた。 「凄い! カズさん、上達している!」泳子が、歓声を上げた。 「泳子を喜ばせようと必死こいて、練習したんだ」アナが、お茶目に言った。 「ハッハハハハ」 カズが、プールから上がって、泳子らの元へ行った。 「凄いじゃないですか!」泳子が、カズに、声をかけた。 「ありがとう」 「練習の成果が出たな。照れやがって」アナが、減らず口を叩いた。 「ハッハハハハ」 「アナは、なんの練習もしてないんだ」カズが、アナに反撃した。 「アナはな」義助も、続いた。 「なあに、そのトゲのある言い方」アナが、反論した。 「ハッハハハハ」 こうして、アナ、カズ、義助は、泳子の退院に花を添えた。泳子は、本当に幸せそうに笑った。こうして、障害児は、助け合い、励まし合って、前に進んでいくのだ。それが、喜びになる。2021年2月25日: IOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長は24日、この日の理事会に参加した東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の橋本聖子新会長の就任を歓迎しました。そのうえで東京大会に外国人観光客を受け入れるかどうかの判断の時期について4月終わりが適切だという考えを明らかにしました。
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