父兄の参観日

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第三話


 アナの父、カズの父、義助の母の企画商品の完成披露会が、三日後に開催されることになった。
「完成披露会の前に、慰安旅行を企画しました! 行き先は、山間の温泉、一泊二日だよ」社長が、企画部の社員に告げた。
「やったー!」
「楽しんで来なさい」社長が、企画部の社員を送り出すことになった。

 慰安旅行の当日、アナの父、カズの父、義助の母が、他の社員らとともに、バスに乗り込んだ。
 バスが走り出して、アナの父の上司が、前の方の席で、
「本日は、藤神くんのお別れ会も兼ねて……」
 と、挨拶を始めた。
「え!」一同が、驚いた。
 アナの父のリストラは、寝耳に水だった。
「皆さんに伝えてないのか?」アナの父の上司が、アナの父に尋ねた。
「……ええ」アナの父が、決まり悪そうに答えた。
 バスは、目的地の温泉を目指して、山中を走行していた。
 その時だった。
 突然、「ドカン!」と大きな音がして、バスが、ガードレールを突き破って、崖から転がり落ちた。
 バスは、山の中腹で、止まった。
 しばらくして、バス事故に気づいた地元の住民が、消防に連絡した。
 消防車などが、「ウ〜ウ〜」と、サイレンを鳴らして、現場に急行した。
 しかし、バスのところまでは、なかなか到達できず、捜索は難航した。

 数日後、捜索隊が、バスのところに行ったが、会社の人々は、バスの中にいなかった。
「バスから逃げ出したなら、大きな怪我はしていないかも知れないが、沢で水を飲んだりしていないと、生存確率は、低いな」消防隊員が、推測した。
 この時点で、生存ラインとされる七十二時間を経過していた。
「山菜とかは?」会社からの捜索隊も、心配そうに聞いた。
「時期的に厳しい」消防隊員が、厳しい表情。


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