支援学校映画部:月の神様

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最終話


「地球にとって、脅威となる生物は、存在するだろうか」
 カズが、冷静に言葉を発した。
「もし居れば、宇宙人――地球の神様――が、容赦なく天敵を送り込むでしょうね。そうして、再び、地球の平穏は保たれる」
「脅威となる生物……」カズが、思案した。
「コロナ! 脅威となる生物って、まさに新型コロナウイルスなんじゃないかな? そうか、新型コロナウイルスの天敵がいれば、良いってことか」
「じゃ、地球の神様が、地球にコロナの天敵を送り込んでくれるの?」
「……いるなら。天敵も、地球の神様も」アナが、自信なさそうに答えた。
「まあ、ワクチンや薬を開発したりすれば良いんだろうけど」
「そうね。ワクチンや薬が、開発されなかったら、より多くの犠牲者が出るわ」

 カズが、アナの嬉しそうな姿を見て、さらに、
「数千万年前、地球に何かの変化が起きて、気候や環境が変化して、恐竜が、絶滅したらしいからね」
 と、太古の話題を持ち出した。
「何かの変化?」
「隕石が衝突して大爆発が起きたり、火山の噴火が起きたりして、太陽光が、遮られて、絶滅したと言う説があったと思うよ」
「え、じゃ、生命体が全部死んじゃったの?」
「その変化した環境の中で、生き延びた生命体が、いたはずなんだ。それが、長い年月をかけて、変化した。それこそが、人間」
「なるほど。その時の人間は、今の姿とは、全然違うのかもね」
「そう考えると、月に何かしらの変化が起きた時、ほとんどの月の生命体が、絶滅しても、生き延びる生命体が、あることだって考えられる。そして、それは、人間を凌駕した、異次元の能力を持つかも知れない」
「人間に危害が及ぶかもってこと? 月へ行って、倒さなきゃ」アナが、不安そうに言った。
「でも、その生命体が、地下で暮らしていたら? 人類の持つ顕微鏡では見えないような大きさだったら? 見えない存在だったら?」
「なんだか怖いわ」
 アナが、少し怯えるように腕をさすった。
「地球に襲来して来たら、人間は、異次元の能力を持つ月の生命体のなすがままになることだってあり得る」
「これから、迂闊に月に行けないね」
「まだ先の話だと思って高を括っているかも知れないけど、数千万年前に絶滅した恐竜が、かつて月に生命体を送り込んでいた、月の神様だったとしたら」
 カズが、鋭い問題提起をした。
「すでに、月の生命体が、人類を支配している……?」
「ああ、一方で、人間が地球上で悪いことばかりして、人間を地球の脅威とみなしたなら、地球の神が、地球上に人間の天敵を送り込むだろうね。例えば、新型コロナウイルスとかね」
「そんなことって……」
「今のままじゃ、人間は、絶滅する運命にあるのかも知れない」
 二人は、し~んと静まり返ってしまった。
「まあ、全くの空想だけどね」
 カズが、笑いながら言った。
「大丈夫、9割方意味不明だったから」
 アナが、まとめた。
「ハッハハハハ」

 それでも、アナは、少し怯えてしまった様子だった。
 カズが、気を取り直して、アナに、
「暗い話になっちゃったけど、月で生命体を育てるなら、どういうのを作りたい?」
 と、質問した。
「私なら、月でも生きて行ける、強い四葉のクローバー。四葉のクローバーが、咲き誇る月は、きっと幸せな未来が待っているわ。そして、そこから進化して生まれる生命体には、多様性の共生社会を形成してもらいたい。偏見も差別もない、それがごく普通の社会を。当たり前だから気付かなくて良い。それが、どんなに素晴らしいことか。私が、生きている間は、不可能かも知れないけど、月の生命体に、地球の未来を託したい。偏見や差別がなくなるだけで良い。神様なら、そうしてくれると信じている」
 アナが、夢見がちに語った。
「恐竜が育んだ、月の生命体がいたとしたら、本当に地球の人間を支配しているのかも知れないね。いや、見守ってくれていると言った方が、良いかな。そして、間違いなく、今、障害者の為に、多様性を受け入れる共生社会を作ってくれている。それは、かつての恐竜――月の神様――への感謝の気持ちかもね」
「だとすれば、これから人間が植える月の四葉のクローバーも、将来、地球に恩返ししてくれるかも知れない」
「僕も、宇宙飛行士、応募してみようかな?」
「そうしましょう! 共生社会は、私たちが、自分の力で作り出すの!」





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