童話
かえるの王さま
昔、可愛いダウン症のお姫様がいました。お姫様は、泉のそばで、鞠で遊んでいました。しかし、ふとした拍子に、鞠を泉に落としてしまいました。そこへ、かえるが現れて言いました。
「鞠を拾ってきたら、お城に招いてくれますか?」
「もちろん」
そういう訳で、かえるが泉に落ちた鞠を拾ってくれました。
しかし、お姫様は言いました。
「お城に呼びたくない」
「え、どうして?」
「キモいもん」
かえるは、意気消沈しましたが、お姫様を追って、お城までたどり着きました。
「よし、到着」
かえるが、城の食堂に行くと、お姫様が言いました。
「ヤダ、きもい」
それを見た王さまが言いました。
「なぜかえるがここに?」
「・・・泉に落ちた鞠を拾ってくれた時に約束したの」
「姫や、約束は守らないとダメだよ」
「王子のように、魔法をかけられてしまうぞ」
「王子は、かえるにされてしまったんですよね」
「もしかしたら、このかえるが王子かも知れない」
「こんなキモいかえるが王子様な訳ないですわ」
食事を終えた、お姫様は、寝室で眠ろうとしました。
そこへ、かえるが訪れ、言いました。
「一緒に寝ていいですか?」
「ちょっと、やだー!」
お姫様は、かえるを掴んで、思い切り壁に投げつけました。
「ありがとう姫」
なんと、かえるが王子の姿に戻ったのです。
「王子様!」
「姫、久しぶり」
「ごめんなさい」
「君らしいや」
「キモいのはお互いさまでしたね」
「ふっ、君は十分可愛いよ」
「なぜ、魔女は王子様に魔法をかけたの?」
「君に真実を見抜く力を持たせるためさ」
「そんなことで、王子様に魔法を?」
「僕が望んだんだよ」
「王子様が?」
「君の将来のことを考えて、みんなで決めたんだ」
「全然見抜けなかった」
「そうだね、失敗だったかも。でも、いいさ、君の逞しさを垣間見れたよ」
「約束破っちゃった」
「結婚してほしい」
「え?」
「結婚してほしいんだ」
「私、ダウン症ですけど」
「構わないさ」
「・・・こちらこそ」
「この約束は破っちゃダメだぞ」
「ふふふ」
こうして、お姫様は敬愛する王子様と結婚して、幸せに暮らしました。
「それでもかえるは苦手です」
「一生守るからね」
了
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